Jean Michel Basquiat | ART WORK

ART WORK

17歳の時に父親に家を追い出されてホームレス状態になってからは、自作のTシャツやポストカードを販売して生計を立てる。その後友人と「SAMO」というユニットを組んでストリートアーティストとして活動し、マンハッタンの地下鉄やスラム街地区の壁などに詩的な落書きをスプレーで残していた。

当初はニューペインティングの中心的な画家として注目されていたが、没後に世界各地で大規模な回顧展が開かれ、大量に書かれた文字、ジャズとの関連、アフリカの民族や人種問題といった黒人ならではの主題も含まれることから再評価が進み、今では20世紀を代表する現代アーティストとして国際的に認知されている。

作品の特徴

1.文字や記号

バスキアの作品の特徴として挙げられるのは、記号や文字が描かれていることだ。人種差別に関する文言や、聖書の言葉の引用など、社会批判的な内容やのアイデンティティにまつわることが書かれる傾向にある。バスキアの作品にはイメージや記号、文字など様々な要素が取り入れられ、グラフィティアーティスト出身のバスキアならではの表現とも言える。

2.解剖学

バスキアは7歳で交通事故に遭って入院した際、母親からプレゼントされた『グレイの解剖学』という本が深く印象に残り、後に解剖学的なドローイングをするようになった。バスキアの作品で代表的なモチーフが頭蓋骨であるが、これも解剖学から得たインスピレーションの成果だと言われている。

3.挑発的二分法

挑発的二分法(suggestive dichotomies)とは「金持ちと貧乏」「黒人と白人」のように相対する二つのものに焦点を当てて制作し、その対比を強調するという表現方法。バスキアの社会批判的な作品にはしばしばこの特徴が見られる。

重要となる作品4選

チャールズ1世

ジャズミュージシャンのチャーリー・パーカーを主題としたもの。バスキアは音楽と終生関わりを持っており、勢いのある線描や一見気まぐれな文字の集積は彼が熱愛したジャズ、特に1940年代にチャーリー・パーカーらが始めた即興を重視する演奏に通じているとされる。バスキアはバンド活動も行なっており、レコードも制作している。

無題(頭蓋骨)

これは前澤氏が落札した同タイトル作品の1981年版。同じく頭蓋骨がモチーフとされており、解剖学からインスピレーションを受けた作品だが、こちらの作品の方がより人体の特徴に沿って描かれているように感じる。バスキアの頭蓋骨モチーフに関しては『グレイの解剖学』のほかにハイチ人であったバスキアの父親が信仰していたブードゥー教のシンボルが影響しているとも考えれている。

黒人警察官のアイロニー

バスキアの特徴でもある黒人をモチーフにした作品。バスキアは人種差別に言及した作品を多く制作し、自身も黒人アーティストと呼ばれることをとても嫌っていた。その中でもこの作品は「制度化された白人社会や腐敗した白人政権」を批判した内容で、アフリカ系アメリカ人の警察官が白人社会に抑圧されている様子を描いている。この作品でもバスキアの挑発的二分法の表現が使われており、バスキアの人種差別を扱った作品の中で極めて有名なものだ。

ハリウッドのアフリカ人

バスキアの作品は目が覚めるような鮮やかな色彩が惜しげもなく使われているものが多いが、この作品もそのひとつ。黄色の背景にはその補色である青色で文字や絵が描かれており、バスキアの特徴である子供の落書きのような文字が羅列されているが、これは古いハリウッド映画で起用される黒人俳優の限られた配役についてほのめかす言葉が書かれている。